論文題目:
リアルタイム3DCG における水しぶきを考慮した水面のシミュレーション
概要:
コンピュータハードウェアの顕著な進歩により、リアルタイム3DCG による表現の幅
にも大きな躍進が見られ、様々な自然現象をリアルに表現出来るようになった。それに伴
い、水に関する表現も非常に豊かなものになって来ている。しかし、その多くは水面だけ
をリアルに表現したものであり、水しぶきまで考慮した水面のリアルタイム3DCG シミュ
レーションは極めて少ない。
昨今のゲーム表現を代表とするリアルタイムコンテンツにおいて、その景観をリアルに
演出する為に、水面に水しぶきが上がるシーンが多々ある。しかし、水面に発生する水し
ぶきをリアルに表現するには非常に処理コストが掛かり、リアルタイム3DCG には不向
きである。その為、ゲーム表現における水しぶき表現はテクスチャの利用がメインで簡略
化した表現が多く、リアルさに欠けている。
本研究は、昨今のリアルタイムシミュレーションにおいて主流となっている水面モデル
の表現に加え、新たに水面モデルと同形状の水しぶきモデルを作成し、水面モデルとは異
なった変位を与えるという手法を採用した。水しぶきモデルは水面と一体化している部分
の表現に使用し、一体化していない中空に飛び散る水粒子の表現にはパーティクルを用い
ることで、リアルな水しぶき表現をリアルタイムレンダリングにおいて実現することが
出来た。本研究では、比重の重い物体が水面に落下するシーン、比重の軽い物体が水面に
落下するシーン、水面上を移動する物体が起こす水しぶきの3つのシーンに分けて、水し
ぶきモデルにそれぞれ固有の変位を与えることでシミュレーションを行った。そして、各
シーンに対し、実写と比較することで、考察と検証を行った。