論文題目:
リアルタイム3DCG における鍾乳石自動生成手法に関する研究
概要:
近年、様々なコンテンツに使用されるCG は実写と区別がつかないほどである。それほ
どリアルに描写出来るようになった理由の一つに、数多くの手法が自然物ごとに研究され
洗練されているということがある。本研究では、自然物の一つである鍾乳石をよりリアル
に描画するための手法を提案する。
既存の鍾乳石の手法では、鍾乳石の種類に応じた特徴が考慮されていなかった。そこで本
研究では代表的な鍾乳石である、つらら石・石筍・石柱の種類に応じた特徴を考慮した鍾
乳石を実現する。オブジェクトの基盤は四角形のポリゴンが多数ある多角柱のオブジェク
トで、その頂点が変位することで形状を生成する。また、頂点座標値が一定の範囲内で
変化することにより不規則性を実現する。つらら石の形状の特徴は、円筒状の先端部分、
滑らかな凹凸面、前後左右のゆがみである。それらの特徴をオブジェクトの半径を一定に
し、sin 関数や乱数を用いたベクトルを利用することにより実現した。石筍の形状の特徴
は、岩肌のような表面、それに覆いかぶさる滑らかなこぶである。それらの特徴をオブ
ジェクトの全ての頂点を乱数でずらし、Bezier 自由曲線を利用することにより実現した。
石柱の形状の特徴は、上部はつらら石が数多く融合し、下部は石筍が数多く融合し成長し
たものである。それらの特徴をつらら石オブジェクトと石筍オブジェクトをフラクタル図
形のシルピンスキーのギャスケットを利用し複数配置することにより実現した。最後にこ
れらの鍾乳石オブジェクトを複数個生成し、本研究の独自性、問題点について言及する。