はじめに

このページでは、LaTeX に初めて触れる皆さんにお届けするトピックをまとめています。

LaTeX とは

そもそも LaTeX とはなにか、というところから疑問の方もいると思います。 そこで、とりあえずLaTeXで文章を書く上で必要となる点だけをまとめてみます。

  • LaTeX(ラテフまたはラテック)とは組版ソフト「TeX(テフまたはテック)」のマクロパッケージ。
  • プログラムを書くノリでテキストを編集(構造化文章を作成)し、コンパイルして文書を作る。
  • テンプレートが用意されているのでそんなに難しいことを覚える必要はない。
  • ソースファイル(*.tex)をコンパイルすると dvi という形式のファイルや、中間ファイルが生成される。
  • 最終的にはこの dvi 形式からおなじみの pdf に変換し、印刷や提出を行う。

以上のような流れになります。 この LaTeX を使ってもらうために必要な作業は、

  • LaTeX の環境をセットアップ
  • テキストエディタを LaTeX 用にカスタマイズ
  • テンプレートをコンパイルしてみる

という流れになります。

LaTeX のセットアップ

研究室のデスクトップPCにも、LaTeXのセットアップが必要です。

まずは環境のセットアップですが、 LaTeX のセットアップは「TeXLive」と呼ばれるパッケージを利用します。

TeXLive https://www.tug.org/texlive/

  1. 事前に、6G程度ディスクを空けておくこと。
  2. 「download」のリンクから、install-tl.zip を取得する。 install-tl-windows.exe を実行するように解説しているWebページもあるが、 exe だとインストールがうまくいかないことがあるようなので、ここでは推奨しない。
  3. 展開後、install-tl-windows.bat を実行する。 その際、環境変数を自動で追加するため、必ず管理者権限のユーザで行うこと。
  4. もし「リポジトリデータベースが組み込まれるまでお待ち下さい。」という表示が出たらしばらく待つ。 5分くらい経っても画面が変わらないようなら、 接続に失敗している模様なのでインストーラーを終了してもう一度やりなおす。
  5. 「Tex Liveインストーラ」というタイトルのダイアログが出るので、まず「インストール先」を確認する。インストールする場所が問題ないならそのままにし、 もしインストール先を別のフォルダやDドライブ等に変更したければインストールパスを変更する。
  6. 「TeXworksをインストール」のチェックを外しておく。(このページではTeXworksの利用を前提としないが、利用したければチェックをいれててもよい。)
  7. 「インストール」を押す。
  8. 後は流れに任せて画面をクリックしていけばインストールが開始される。
  9. インストーラーを実行してしばらくすると数千個のパッケージのインストールが始まるが、 そのときの「time/total」の横に「01:02/44:15」というような数字が表示される。 この分母の側の時間がインストール完了予測時間となるが、これが1時間半以上かかるようであれば かなり遅いサーバーに接続してしまった可能性が高いので、一度中断して最初からやり直した方が手っ取り早い。
  10. なお、インストールを途中で中止した場合、 最初からやりなおしになってしまうので、 インストール作業は時間に余裕があるときに行うこと。 もしインストールをやり直すときは、事前にインストールフォルダ (デフォルトは C:\texlive) を消去しておくこと。

エディタの設定 (VSCode の場合)

LaTeX で扱う tex ファイルは単なるテキストファイルなので、 エディタはメモ帳でもなんでも良いのですが、 この Wiki では便利に利用できるエディタとして「VSCode」を紹介します。 VSCode は Windows 版だけでなく MacOSX 版や Linux 版もあります。

インストール

以下の URL からインストーラーをダウンロードして実行して下さい。

https://code.visualstudio.com/download

パッケージのインストール

まずは、日本語メニューをインストールします。以下の手順に従って下さい。

  1. 「File」→「Preferences」→「Extensions」を選ぶ。(または、左側のアイコンのうち正方形4個のアイコンを選択する。
  2. 検索テキストボックスに「Japanese」と入力する。
  3. 検索結果の中にある「Japanese Language Pack for Visual Studio Code」の欄にある「Install」をクリックする。
  4. 直後に出てくるダイアログ中にある「Change Language and Restart」をクリックする。

メニューを日本語化したら、同じような手順で「LaTeX」で検索し、「LaTeX Workshop」をインストールしてください。

論文用テンプレートファイルのコンパイル

論文用テンプレートファイルをコンパイルしてみましょう。 まずは、研究室のサーバーから必要なファイルをダウンロードしましょう。

LaTeX資料集 https://gamescience.jp/GS_LaTeX/index.html

解凍すると、色々ファイルが出てきます。この中に「M0Axxyyy_Main.tex」や「G31xxyyy_Main.tex」という名前のファイルがある場合、この前半の「M0Axxyyy」や「G31xxyyy」の部分を自分の学籍番号名になるように名称を変更しておいてください。

次に、「*_Main.tex」というファイルが含まれているフォルダーを VSCode で「フォルダーを開く」を用いて開いてください。すると、先ほどのファイルを含む様々なファイルやフォルダーがエクスプローラー上に表示されます。この中の「*_Main.tex」ファイルを選択し、内容を表示してください。

このままコンパイルしてみましょう。 VSCode の左側に並んでいるアイコンのうち、 「TeX」と書かれているものを選択します。 すると、LaTeXソースの左側にダイアログが表示されますので、 その中の「LaTeXプロジェクトをビルド」をクリックします。 ビルド中は、VSCode 下段(ステータスバー)に「Build」という文字列の横に 回転するアニメーションのアイコンが表示されます。 ビルドが完了するとアニメーションが停止します。 ビルド後に「LaTeX PDFを表示」を選択すれば、 LaTeX ソースコードから生成された PDF を閲覧できます。

ほら、何かもう大層な論文を書いた気分に浸れませんか? 論文全体を表示するとやや文字がかすれて見えますが、 Ctrlキーを押しながらホイールを上下することで拡大縮小ができます。 拡大すると、様々な文字が実際はかなり綺麗なフォントで表記されていることがわかります。

Build がうまくいかなかった場合、 VSCode の「出力」にあるエラーメッセージを参照し、これを見て改めて編集しなおします。 このエラーメッセージは今時の開発環境と比較するとかなり見づらいので、 慣れが必要です。

書き始めるにあたって

中間報告書の場合

中間報告書では、*_Main.tex に本文を記述していきます。 サンプルをよく読みながら、手始めに論文のタイトルや学籍番号、 氏名を自分のものに変更してコンパイルしてみましょう。 編集した main.tex を保存してビルドを実行するだけです。

ビルドがうまくいったら、*_Main.pdf を開いて反映されたか確認してみましょう。 あとは、先輩の中間報告書などを参考に書き進めましょう。

LaTeXのコマンドなどが分からなかったら、 LaTeX Tips&FAQ を読んでみてください。

学部卒業論文、修士論文の場合

では、テンプレートファイルのコンパイルから先に進むにはどうするかを説明します。 本文そのものは、main.tex とは別のファイルに記述していきます。 M01xxyyy\_main.tex の中に、

% ここから本文ファイルを挿入

% \input{chap1}
% \input{chap2}
% \input{chap3}

という欄があると思います。 行頭の % はコメントアウト(C++/Java の // に相当)になっていて、 メモ書きやボツ文章を残しておくのに使えます。

で、別ファイルに記述した文書は、こうやって input 文で挿入するわけです。 自分が追加したファイルに応じて、コメントを解除するなり、自分で input 文を追加するなりしてください。

肝心の中身ファイルの書き方ですが、これはもう、世の資料などを参照してもらうしかありません。 全部書くくらいなら私は LaTeX の本を出せてしまいます。 とりあえず最低限は、そのファイルで書く章の名前を、

\chapter{はじめに}

のように最初に入れておくくらいです。後は Try & Error でがんばりましょう。


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Last-modified: 2024-08-10 (土) 17:00:38 (32d)