論文題目:
水分の吸収を考慮した布のシミュレーション

概要:
近年のコンピュータ技術の発達によって、様々なコンテンツにおいてコンピュータグラ フィック(CG)による表現を目にする機会が多くなってきた。CG 化において複雑な形 状、動きをするものをシミュレーションによって求める研究が盛んに行われている。その 中でも布のシミュレーション(クロスシミュレーション)はアパレル産業への利用や、映 画やゲーム等映像表現の魅力向上においてもきわめて重要な分野である。既存の研究で は、繊維の変形の性質に着目し、伸びや曲げを表現することや自然なしわを表現すること など様々な布の性質を表現する研究がなされてきた。布の重要な性質として水分を吸収す ることが挙げられるが、既存の研究ではこの点は考慮されていない。本研究では水分の 吸収を考慮した布の動きをシミュレーションする。本論では、布が水に浮いている状態か ら、吸水によって徐々に沈む様子の表現を目的とする。本論の手法では布をスプリングモ デルによって表現し、粒子に体積、面積、質量を設定し、浮力と水の抵抗を計算した。水 中にある粒子は吸水によって時間経過ごとに質量を増加するものとし、質量の増加量は繊 維の液体浸透の理論を用いて計算した。

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