論文題目:
3DCG における複雑形状物体の燃焼表現
概要:
自然現象の表現はコンピュータグラフィックスの分野で大変興味を持たれ研究が進んで
きた。近年では映画やゲームなど多くのコンテンツでコンピュータグラフィックスで制作
された火や海の波、水の渦などを見ることが出来る。特に燃焼という現象のコンピュータ
グラフィックス表現では炎や煙、熱に関しては多く研究が行われてきた。燃焼によって発
生する炎や煙等については自動的に生成、表現する手法が幾つか提案され、利用されてい
る。一方、炎の発生位置の変化や、燃やされている物体の変化については、その様子を自
動的に生成、表現する手法がまだ存在しない。
本研究では燃焼している物体の状態に焦点を置き、燃焼している物体の状態変化などの
表現を実現した。燃焼する物体は3 角形メッシュによる閉面によって表現し、燃焼によっ
て発生する熱はパーティクルによって表現した。固体を構成するメッシュの各頂点毎に熱
の情報を管理し、固体内部の熱伝導、熱流による熱伝達による温度変化を計算した。メッ
シュの各3 角形は燃焼前、燃焼中、燃焼後の3 つの状態をとるようにし、属する頂点の
温度によって、各状態を遷移させた。このようにして、固体表面に炎が燃え広がっていく
様子を自動的に生成した。これにより、位置や形状によって熱が伝わりにくい部分など火
の広がり方に偏りが出ることも表現する事が出来た。本研究では固体に火が着き、燃え広
がり、燃え尽きるまでの固体燃焼の一連のプロセスの表現を実現した。