論文題目:
稚魚から成魚への形状モデリング

概要:
近年、3DCG コンテンツ作成の需要が増え、3DCG コンテンツ作成の効率化は重要な 課題となった。なかでも、3DCG コンテンツ作成における3 次元形状の生成はとても手 間のかかる作業である。そこで、3 次元形状の生成を自動・半自動的に行うことを目的と した研究が数多くされてきた。しかし、3 次元形状を自動・半自動的に生成することは非 常に難しく、地形や樹など、ごく一部でしか実現されていない。なかでも、動物を表現す る3 次元形状の生成に関する研究はあまりなされていない。そのため、魚の成長を表現す る際には、稚魚や成魚といった魚の体形特徴が強く現れる成長段階を表現した3 次元形 状のみが作成、利用される傾向にある。そこで本研究では、魚を対象に、さまざまな成長 段階を表現する3 次元形状の生成を効率的に行うことを目的とする。 本研究では形状生成の手法として、モーフィングを採用した。モーフィングは、2 つの 3 次元形状を入力形状として、一方の3 次元形状から他方の3 次元形状への変化を出力 する手法である。何かが変化していく様子を出力するという特徴から、動物の成長の様子 を表現する3 次元形状の生成に有効な手段であると考えられる。なかでも、魚類のよう に、以前の成長段階の特徴を維持しながら、次の成長段階へと体形が変化していくものに 有効であると考えられる。 しかし、通常のモーフィングをそのまま利用した場合、次のような問題が発生する。通 常使われているモーフィングは、2 つの入力形状の頂点を線形補間することにより、変形 後の頂点の位置を求めている。そのため、中間の形状の頂点の移動経路は直線的になる。 しかし、魚の成長過程で、体形の特徴点が直線的に移動することは少なく、滑らかなカー ブを描くのが一般的である。 そこで、本研究では、ある魚の成長段階を表現した形状を3 個以上用意し、それらを 同時に混合するモーフィングを行う。用意した複数個の入力形状に対し、各成長段階に応 じた混合率を設定することで、各成長段階における入力形状の特徴が調節できる。これに より、曲線的な変形が可能なモーフィングを実現した。本研究で提案する手法は、プログ ラムを作成し、様々な形の魚で検証を行った。

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