論文題目:
合わせガラスのひび割れシミュレーション
概要:
近年のコンピュータ技術の発展にともない、コンピュータグラフィックスを用いて映像
を表現することが増えてきた。破壊現象は映像作品の中でよく目にすることができるが、
現実で行うには費用がかかり、時には危険を伴う場合もある。これらのリスクを回避する
ために破壊現象をコンピュータグラフィックスで表現するのは有効な手段の1 つであり、
研究も盛んに行われている。
映像作品の中で破壊の対象は色々あるが、本研究では建物や乗り物などで多く使用して
いるガラスに注目した。現在ガラスには様々な種類があるが、中でも安全性が高いために
多様な箇所で利用されている合わせガラスに焦点を当てた。合わせガラスは2 枚のガラス
の間に特殊樹脂膜を挟んで接着してあり、衝撃が加わっても特殊樹脂膜の作用により、ガ
ラスの破片が飛散、脱落することが少ない。このとき合わせガラスのひび割れの形は蜘蛛
の巣状になる。既存の研究では、高速にこのような亀裂を作成するものがない。
本論文では合わせガラスのひび割れの形状とひび割れ同士の重なりを表現するモデル
を提案する。はじめに合わせガラスのひび割れの形の特徴、亀裂の進展法則を挙げる。そ
れらを元にひび割れを作成した。次に合わせガラスに複数回衝撃が加わり、複数のひび割
れが生成されたときにひび割れ同士の重なりを表現した。最後に検証を行い、問題点、今
後の展望について言及する。