論文題目:
エージェント間コミュニケーションモデルに関する研究
概要:
近年、擬人エージェントや擬似的な感情を持たせるための研究が行われている。エー
ジェントは、人間の感情をモデル化したもの(以下感情モデルという)に基づき、感情を
生成し、感情に起因するしぐさを行う。感情モデルを利用することにより、ユーザのエー
ジェントに対する親しみや信頼性を増幅する効果がある。
エージェントの人工感情及びそれを表現する表情表出については、これまでにも多くの研
究が存在する。しかしユーザがシナリオを書き込むことにより生成するタイプのエージェ
ント以外は、感情モデルをそのまま表情として適用するモデルが多い。感じたことをその
まま表出する感情モデルは、限られた状況では十分である。しかし、大人が関わる対人コ
ミュニケーションにおいては、感じた感情をそのまま表現することは少ない。状況に応じ
て表情を調整することにより、表情を偽ったり、大げさに表現したりするのである。例え
ば、愛想笑い・ポーカーフェイス・子供の躾の際の大げさな怒りの表現などもこうした調
整の結果である。エージェントがより自然な感情起因反応を起こすために、表情調整機能
を取り入れることは有効である。
本研究ではエージェントが感情を生成してから表情に表出するまでの間に、表情調整機能
を取りいれる。これにより感情を任意に増強・抑制した場合の表情を生成することで、愛
想笑い・同情などの感情を誇張した表情や偽装した表情などを表出する手法を提案する。