論文題目:
3DCG におけるFFD を用いた魚が泳ぐ際の体の変形に関する研究

概要:
近年、映画やゲームなど様々な映像表現では、3DCG を利用して、現実のような迫力あ る画像を身近な環境でリアルタイムに楽しむことが可能になった。そんな中、3DCG にお いて生物を真似て表現することは非常に増えている。例えば、魚や鳥、昆虫などの表現を することが多い。生物はそれぞれ特徴的な動作をしており、実際の動きに近づけるために いろいろな研究が行われている。中でも、魚に着目すると、魚群の生成や経路選択、体の 変形などの研究が進められている。魚は、生物学的にまだ解明されていない部分が多い。 魚の体形は、エサや環境によって異なり、泳法は種類により様々である。 本研究では、様々な魚の泳法がある中で、それぞれの魚の種類に応じた泳ぐ際の体の 変形を表現する手法を提案する。まず、様々な魚の泳法から動作を抽出した。魚の泳法に は、細長い体全体をくねらす泳法や尾ヒレと体後半部を使う泳法、体をほとんど使わず尾 ヒレだけを動かす泳法、背ビレや尻ビレの波状運動する泳法、胸ビレを主に用いる泳法な どがある。これらの泳法を表現するために、体のしなりの動作とヒレの動作の2 つに分け た。そして、2 つの動作をFFD を用いて魚モデルを変形して表現する方法を示した。 体のしなりを表現する方法として、魚モデルの背骨にあたる部分にFFD の制御軸を設 定した。制御軸を尾ヒレの方向へ行くにしたがって大きく動かすことにより、体のしなる 表現を実現することができた。また、ヒレの動作にもFFD を適用した。ただし、ヒレは 体全体の変形ではなく、体の一部分の変形なので、体と接続する部分を変形すると体から 離れてしまうという問題が起こる。そこで、本研究では、ヒレの付け根部分に制御点を密 接するように配置した。そして、ヒレと体が接続する部分を中心にヒレを回転し、胸ビ レが前後する様子を表現した。これに対し、検証例によって本研究の有用性について考察 した。

戻る >>