論文題目:
群集流動シミュレーションにおけるグループ歩行表現導入の有効性

概要:
近年、建築・交通工学分野において、人間の群集の流れをシミュレートする「群集流動 シミュレーション」の需要が高まっている。具体的な例としては、建築設計や都市開発な どにおいて人の流れがスムーズになるような環境設計を検討する「動線計画シミュレー ション」や、イベントや災害時に群集事故回避のための効果的な群集の誘導法を検討する 「群集誘導シミュレーション」などへの応用が進められている。本研究は動線計画シミュ レーションや群集誘導シミュレーションの精度向上を目的とする。 動線計画・群集誘導の評価尺度として群集の平均歩行時間や密度分布が挙げられる。シ ミュレーション結果において、これら評価尺度の値が現実に近いことが望ましい。そこで 本研究は歩行時間・密度分布の精度向上を目指すことにする。これらの精度を現状より向 上させるために、まず現在の群集流動シミュレーションにおいて考慮されていない事象を 考える。現在群集流動シミュレーションにおいて欠けている部分としては、各歩行者間の コミュニケーション、各歩行者の個性の違い、カップルや家族などのグループ歩行者いっ た点が挙げられる。今回はこの中で「グループ歩行者」に着目する。まず、グループに関 する既存調査結果を参考にグループ歩行者の存在が周辺歩行者に与える影響を考察する。 この考察結果より、群集流動シミュレーションへのグループ歩行表現導入の有効性を検証 する。さらに実際にグループ歩行表現を導入するための手法を検討するとともに今後の課 題を提示する。

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