論文題目:
コブ形状および分枝部分の平滑化を考慮した写実的な樹木形状の生成に関する研究
概要:
これまで樹木形状のモデリングおよびレンダリングに関する研究は数多くされてきて
おり、樹木を重要視するようなシミュレーションや大量の樹木形状が必要となる映像コン
テンツなどの分野で利用されてきた。特にモデリングにおいては樹木形状を自動的に生成
することを目的とし、写実的かつ効率的な手法の研究が行なわれてきた。
しかし従来の手法で生成される樹木形状は樹木の骨格モデルの生成に特化したものが
主流であり、樹木特有の個性的な隆起形状はあまり考慮していなかった。これは不規則に
発生する隆起の表現が困難であることや、モデリングの効率と精度の両立が問題となるた
めである。そこで本研究では樹木の随所に見られる特徴的な隆起であるコブを枝の奇形
生長の一つとして実現する。一方、枝の根元である分枝部分が滑らかになっていなければ
不自然なコブを生成することになる。そこで生成コストを極力抑えるために、ユーザが指
定した精度で分枝部分のみを局所的に滑らかにする手法を実現する。本研究では以上の2
点から生成コストを考慮した上でコブ形状を実現し、樹木形状をより自然な形に近づける
ことを目的とし、その有用性を実証する。その際に樹種ごとにコブの発生要素が異なるこ
とを踏まえ、樹種ごとの特徴を考慮した形状生成が可能なWeber らの手法を本研究の基
盤とした。